カテゴリ: 事件

大阪市浪速区桜川のマンションにある暴力団事務所で26日午後に見つかった拳銃で撃たれたとみられる男性について、大阪府警浪速署は同日、搬送先の病院で死亡が確認されたと発表した。同署によると、男性は指定暴力団山口組直系倉本組(本部・奈良市)の川地敏之組長(52)=奈良市大宮町=とみられ、自殺の可能性が高いとみて調べている。同署によると、川地組長とみられる男性は寝室で寝間着姿で倒れていたといい、マンションを訪ねてきた元組員の男性(49)が発見した。胸に銃創のような傷が1カ所あり、そばには回転式の拳銃が落ちていたが、争った形跡はなかったという。捜査関係者によると、川地組長は今月中旬、山口組から除籍処分を受けていたといい、病気療養中だった。山口組の分裂をめぐり倉本組では、山口組に残る勢力と離脱した神戸山口組側へ移籍しようとする勢力の両方があるなど、組織運営でトラブルを抱えていたとみられる。
2015/10/27 07:38 産経WEST

揺れる山口組 直系組長が拳銃自殺 上と下の板挟みで精神的に追い詰められ…
国内最大の指定暴力団山口組(総本部・神戸市灘区)の直系団体である倉本組(本部・奈良市)の川地(通称・河内)敏之組長(52)が26日、大阪市浪速区の傘下組事務所で死亡しているのが見つかった。拳銃自殺とみられる。倉本組は8月末の山口組分裂が表面化して以降、残留派と神戸山口組移籍派に割れており、山口組は今月中旬、川地組長の監督責任を問い、除籍処分にしていた。山口組の分裂から2カ月。川地組長の自殺は組織分裂で揺れ動く山口組の実態を浮き彫りにしている。大阪府警によると、川地組長は26日午後0時20分ごろ、大阪市浪速区にある傘下組事務所の和室に敷かれた布団の上であおむけに倒れているのを、訪ねてきた元男性組員(49)に発見された。病院に運ばれたが、胸に銃創があり、死亡が確認された。グレーのスエット姿で右手近くには回転式の拳銃が落ちており、ほかに目立った外傷はなかった。川地組長は今月初旬~中旬に内臓疾患のため入院。その後は事務所に寝泊まりし、元組員が日中は身の回りの世話のため通っていたという。遺書などは見つかっていないが、状況などから大阪府警は拳銃自殺の可能性が高いとみて調べている。川地組長は8月末の山口組の分裂が表面化していて以降、窮地に立たされていた。奈良県警の捜査関係者によると、倉本組は山口組の直系団体で、大阪府や和歌山県、三重県などにも傘下組織を持つ。川地組長は2010年、ナンバー2の「若頭」から3代目組長に就任。山口組の分裂以降は神戸市灘区の総本部で直系組長らを集めて毎月開かれている定例会には出席せず、若頭を代理出席させるなどしていたという。倉本組はピーク時には約2000人の組員を抱えていたが、取り締まり強化や暴力団排除条例の浸透などで約200人まで激減。総本部に納める毎月約100万円の会費や、雑貨購入費などの支払いに困窮していたとされる。高額の山口組の会費を批判している神戸山口組側は直系組長の毎月の会費は30万~10万円に抑えており、倉本組内では山口組に残留するか、神戸山口組に移籍するか、意見が分かれていたといい、こうした情勢を山口組執行部が察知。川地組長の監督責任を問い、除籍処分にしたという。捜査関係者は川地組長について「上からはたたかれ、下からは突き上げられ、板挟みになっていた。最近は精神的に追い詰められて酒浸りになっていたようだ」と指摘。今後の倉本組については「傘下組織の一部は倉本組の初代組長と縁がある神戸山口組の直系団体に移籍する方向で、残りは山口組の直系団体に吸収される」と分析している。山口組の分裂から2カ月。山口組の直系団体の中には倉本組と同様の問題を抱えている組織がまだあるといい、警察当局は動向を注視している。
2015.10.27

大阪府大阪市浪速区桜川一丁目2-18サンロール湊町201らしい。

〇河内敏之とは
河内敏之(本名:川地敏之 1963年3月4日 - 2015年10月26日)は日本のヤクザ。元・指定暴力団・六代目山口組若中、三代目倉本組組長。
1982年、倉本組・三誠会に加入する。
2010年、六代目山口組若中。
2011年、組長付に就任する。
2015年10月、分裂騒動で六代目山口組か神戸山口組かの選択を追求された。
初代倉本組組長・倉本広文は、柳川組出身で初代宅見組副組長を務めた後に四代目山口組若中になった経緯もあり、二代目宅見組への恩もあり態度を保留した。
同月20日、六代目山口組は河内敏之を「裏切者」と恫喝し、除籍。
同月26日、河内敏之は寝室で、寝間着姿のまま布団の上で心臓めがけ自ら拳銃の引き金を引き自殺した。河内敏之は病院に運ばれたが、すでに心肺停止状態だった。右手近くにリボルバーの拳銃が落ちていて、争った形跡はなかった。

平成28年5月7日午後3時5分頃、大阪市天王寺区生玉町のホテルの一室で、「女性が動かない」とホテルの従業員から119番があった。天王寺署などによると、女性は裸の状態で倒れ、すでに死亡していた。目立った外傷はなかった、所持品には数枚の診察券があった。女性は40代の風俗店従業員とみられる。男性客と一緒に入室したといい、同署は死因を調べるとともに、現場から立ち去った男性客の行方を追っている。同署によると、2人は同日午後1時頃に入室したが、女性の勤務する風俗店に午後3時頃、男性客から「女性が倒れた」と連絡があった。風俗店関係者がホテルへ急行したところ、部屋で女性が倒れているのを見つけたが、すでに男性客の姿はなかったという。天王寺区のホテルで女性の遺体が見つかった事件で、死亡したのは、風俗店勤務の女性(47)=大阪府富田林市=と判明した。警察は女性と一緒に入室した男性客の行方を追っている。

大阪府大阪市天王寺区生玉町2-30(旧ホテルワンラブ)
このラブホテル「ホテルワンラブ」は2021年10月までは営業しているようだが2022年5月には取り壊し工事が始まっている。マンションになるという話があるようです。



TwitterやInstagramなどのSNSでは、さまざまな闇バイトが募集されています。被害者からキャッシュカードなどを受け取る「受け子」、ATMで現金を引き出す「出し子」、強盗をする「たたき」、口座売買、運び屋など、さまざまなものがあります。全て特殊詐欺の片棒を担がされ、罪に問われる行為です。「知らなかった」では済まされません。この記事では、SNSで横行する「闇バイト」募集の特徴や見分け方について解説します。
〇“使い捨ての駒”として利用される闇バイト
ある人は、600万円という高収入を提示され、闇バイトに応募。ロレックスなどの貴金属強盗などを行い逮捕され、手にしたお金はゼロ。懲役10年を求刑されました。特殊詐欺の実行役をSNSで募集する理由は、使い捨てにできるからです。SNSでやりとりをしているので指示役の正体や連絡先は知らないため、実行役のバイトが逮捕されて終わることが多いのです。
〇闇バイトに勧誘される中高生が急増
闇バイトをしてしまい、犯罪に加担して検挙される容疑者は低年齢化しています。昨年、警察に逮捕・書類送検された20歳未満の少年は477人で、前年より44人(10.2%)増えました。そのうち、中高生が3割を占めます(※1)。SNSをきっかけに特殊詐欺の実行役となり、その人物が学校の後輩などを誘い、広がっていくことも多いのです。愛知県警と名城大の学生が合同で、市内の高校生1000人を対象に「闇バイト」に関するアンケートを実施したところ、男子生徒のうち、50人に1人に当たる2%が「勧誘を受けたことがある」と答えたと発表しています(※2)。若者の多くはSNSを長時間利用しており、募集を見かけるリスクは大人より多くなります。趣味だけでなく、勉強やアルバイトなど、何でもSNSで検索するという若者は少なくないため、SNSで高収入のバイトを検索して闇バイトの投稿を目にしてしまうのです。
〇闇バイトの“あるある”な募集文言
闇バイトの募集投稿には、とあるパターンがあります。必ずと言っていいほど「#高収入」「#高収入バイト」「#副業」「#副業主婦」「#お小遣い稼ぎ」「#日払い」など、お金を稼ぎたい人に向けたハッシュタグがつけられています。同時に「年齢不問」「未経験歓迎」「全国で募集」「在宅ワーク」「スマホだけ」「即日即金」「安心安全」「サイト登録不要」「稼げるまでサポート」など、都合の良い文言が並びます。「ママOK」「子どもが小さくてもOK」「副業主婦」などの子育てで仕事がしづらい主婦層を狙ったもの、「中学生副業」「中学生からOK」「親バレなし」「口座不要」など学生を狙ったものもあります。「推し活」「グッズ代・チケ代・コスメ代に」など、お小遣いが足りない人向けの文言も目立ちます。ターゲットに合わせて、若い主婦や子どもの写真を使って安心させるもの、札束、口座、ブランド品などの写真を使ったものも多くみられます。
〇闇バイトの見分け方
闇バイトを見分けるポイントは以下のとおりです。
・1日5~10万円などの高収入かつ即支払いをうたっている
・「荷物を取りに行き運ぶだけ」「お金を引き出すだけ」など仕事内容が詳しく書かれていない
・受け、出しなどの隠語が使われている
・履歴書や面接などが不要、即採用される
・詳細はDM、あるいはTelegram(テレグラム)やSignal(シグナル)などの秘匿性の高いアプリを使う
高収入にもかかわらず、採用条件が緩かったり、仕事内容が具体的に明記されていなかったりする時点で怪しい求人だと考えるようにしてください。DMなど、クローズドな環境でやりとりをしたがるのは、甘い言葉で丸め込みやすくするためです。TelegramやSignalでのやりとりは、メッセージのやりとりが暗号化されるためプライバシーが強固に担保され、また一定時間たつとメッセージが消去される機能もあり、特殊詐欺などの犯罪に悪用されがちです。このようなアプリでのやりとりを求められたら怪しいと思うべきでしょう。
〇大手求人サイトでも闇バイトの募集が……
「闇バイトに巻き込まれないためには、SNSで仕事を探さなければいい」と思う人もいるかもしれませんが、実は大手求人サイトにも掲載されていることがあります。過去にとある大手求人サイトで、高収入をうたい「ハンドキャリー」「回収」のアルバイトと称して、闇バイトが募集されていた例もあります。詐欺グループはダミー会社の名前を用い、審査をパスしていたとのことです。つまり、意図して闇バイトを探すのではなく、普通の仕事と思って応募して、知らぬうちに犯罪に巻き込まれている例もあるのです。この世に、うまい話などありません。このような闇バイトに手を染めても、報酬は手に入らず、重い罪に問われるだけです。仕事やバイトを探す際はSNSではなく、求人サイトなどを使うようにしましょう。気になる仕事を見つけた場合には応募する前に、周囲の信頼できる大人に相談し、客観的な意見を求めるといいでしょう。
〇「闇バイトかも?」と気づいたら
闇バイトに応募すると、「お金を持ち逃げされたら困るから」などの理由で、運転免許証などの身分証明書や、実家の住所や連絡先などを要求されます。途中で闇バイトと気づいて逃げようとしても「身分証明書をばらまくぞ」「家族がどうなってもいいのか」と脅される可能性もあります。しかし、特殊詐欺は重い罪に問われる行為であり、被害者も生まれます。犯罪に手を染める前に、必ず手を引いてください。万一、闇バイトに申し込んでしまったと気が付いたら、最寄りの警察署や警視庁総合相談センター、またはヤング・テレホン・コーナーに相談するようにしてください。
【参考記事】
※1:令和4年における特殊詐欺の認知・検挙状況等について(確定値版)
※2:名城大学ボランティア協議会(ボラ協)公式Twitter
(文:高橋 暁子(ITリテラシーガイド))

オールアバウト / 2023年7月28日 21時50分

新社会人は、親元を離れたことによる寂しさや経済的不安から、説明会やセミナーと称する勧誘の場に参加し、マルチ商法やマルチまがい商法に取り込まれてしまうことが少なくない。詐欺や悪質商法に詳しい立正大学心理学部教授の西田公昭さんは「彼らは最初はまったく怪しくない。『儲けたい』『人と違うものがほしい』という心理をつき、巧妙な手口で近付いてくる」という――。 
■新社会人の心理につけ込み懐に入り込む
近年、経済的に豊かになりたい、不安定な経済基盤を安定させたい、という気持ちにつけ込んだ「マルチ商法」や「マルチまがい」の被害が広がっています。特に新社会人は、こうした悪質な組織にとって“魅力的なカモ”。新しい環境に入ったばかりで不安や迷いを抱えやすく、さらに理想と現実のギャップに気づき始める時期でもあるため、つけ込まれやすいのです。狙われやすいタイプは共通しており、ひとつは、「生きがい」や「やりがい」といった人生の夢や生きる意義を見失いがちの状態にあること。もうひとつは、人一倍自意識が高く、自分こそ社会的に成功するはずの「原石」だと思いたい人です。この2つの要素が揃った「心もとない状態にある人」は、特にマルチ商法やマルチまがいのターゲットになりやすいと言えるでしょう。特に、地方から都会に出てきて一人暮らしを始めたばかり、つまり親の庇護から離れたばかりだと、不安定でつけこまれやすくなります。その中で、経済的な成功を収めたい人は投資セミナーなどと称した詐欺や悪質なマルチ商法、そうでない人は、「キラキラした人生」を煽る自己啓発セミナーなどを隠れ蓑にした消費被害に遭いやすい傾向にあります。新社会人は、給料をもらうようになって初めて、理想と現実のギャップに気づきます。経済的に豊かになるのはそう簡単でないと実感し、中には「一攫千金でも狙わない限り経済的に豊かな生活は見込めない」と考え始める人も出てきます。
■いったん入ると抜けにくい
マルチ商法やマルチまがいの組織は、政治団体や宗教団体を標榜するカルト的集団とも共通点があります。ターゲットとなる人を複数で囲い込んで「いい商品だ」と信じ込ませる手口も、いったん入ると離脱しにくいという点も似ています。その意味では、マルチ商法やマルチまがいも、カルトの一種と捉えることができるでしょう。マルチ商法は、商品やサービスを契約してその組織に入った人が、次は自分が勧誘者となって家族や知人に契約を勧めるもの。英語の「マルチ・レベル・マーケティング」の略で、「連鎖販売取引」と呼ばれます。昔からトラブルが多く、イメージを変えるためか、「ネットワーク商法」などという場合もあります。こうした販売方法は、一定のルールさえ守れば合法とされ、物品が流通しないようなネズミ構と判断されれば違法になりますが、一般には普通に雑談しているふうに見えるので勧誘ルールが守られているかどうかを監視するのはとても難しいのです。なお最近では、法の抜け穴を突いた「マルチまがい」のような手口や仮想通貨を用いた新手も増えており、摘発や救済が非常に難しくなっているようです。
新社会人の子を持つ親としては、わが子が悪質なマルチ商法やマルチまがいに引っかかっていないかどうかしっかりチェックしたいところです。しかし、最近はSNSが普及し、オンライン講座もありますし、親に気づかれずにこっそり接近できる環境になってしまっています。
■英会話教材から自然食品まで
こうした組織に取り込まれたときの兆候は、宗教カルトや自己啓発カルトなどと共通しています。それらの兆候については、前回の記事「大学1年生は"魅力的なカモ"」SNSでつながり、徐々に踏み込んでくる…カルトの新しい勧誘フレーズで触れました。これは新社会人でも同じで、大学生と違うのは、給与やボーナスをすべて活動に注ぎ込んでしまうケースが多いことです。カルト的集団も、マルチ商法やマルチまがいの組織も、頼りになりそうな先輩や、なんでもよく知っている助言者のふりをして、SNSや友人の仲介で近づいてくることがほとんどです。若者の経済的不安や、人生の成功者になりたいという思いにつけ込み、「副業してみない?」「この方法で大儲けした先輩がいるよ」などと言って、説明会やセミナーなどに誘ってきます。扱われる商品は、FX自動売買ソフトや投資学習用教材、英会話教材、オンラインゲームのアカウント取得など多岐にわたります。健康食品や水、サプリ、化粧品、下着、寝具などもあり、商品の説明を聞いただけでは怪しいと気づけないことも。ただ、いずれにも共通するのは「他者を勧誘することで稼ぐ」という点です。「勧誘して稼ぐ」とわかった時点で、「怪しい」「こんなに簡単に儲かるはずはない」と気づければいいのですが、気づかないまま取り込まれてしまう人も少なくありません。法律では、儲けることが簡単ではないことなども、勧誘時に説明しなくてはならないことになっているので、告知せずに勧誘しているだけで悪質商法です。
■優越感や自尊心をくすぐる
特に危ないのは、前述の「頼りない状態にある人」に加えて「意識高い系の人」。基本的に真面目な性格で、「自分はこのままではいけない」「もっと高みに行けるはず」などと根拠があまりないのに思っている人がこれに当たります。また、ほかの人とは違う「本当にいいもの」を選びたいと思っている人、陰謀論に影響されて「一般的な商品は危険なものが含まれているのに隠されている」と信じてしまうような人は、リスクが高いと言えるでしょう。マルチ商法やマルチまがいの商品は、その組織を通してのみ購入できるものなので、当然ながらスーパーやコンビニでは売っていません。ここから、「自分は一般の人が買えない良い商品を知っている」という優越感が生まれます。ただし、こうした商品が特別に優れたものであった試しがありません。単に優れていると思い込んでいるに過ぎないのですが、いくら科学的な根拠をもって否定されても、その証明を受け入れず、勧誘者の言葉をひたすら信じてしまいます。マインドコントロールに陥った状態です。「本当にいいものだから、売れるだろう」と、誤信して購入することもあれば、「こんな高額は払えない」と思いながらも、周りから執拗に迫られて逃げ切れずに、困惑しながらも契約を結んでしまうこともあります。一定の売り上げを出さないと叱られたり、仲間に迷惑が掛かるので、半ば強制的にローンを組まされたり、消費者金融でお金を借りさせられることもあります。一度足を踏み入れると、なかなか抜けられず、抜けさせてもらえません。マルチ商法やマルチまがいの組織は、ごくごく一部の成功者を取り上げて、あたかも同列になったり追い抜いたりが、自分にも簡単にできるかのように幻想をいだかせるといった煽り方で、人々の優越感や自尊心をくすぐる要素をたくさん用意しています。もちろん、本当は儲かっていないのに、儲かっているかのように装って勧誘する人もいます。そして、それぞれが多くの信奉者を獲得できると信じて勧誘活動を行い、さらに被害を広げ続けるのです。
■「自分は大丈夫」が危ない
私はカルト的集団に入る人の心理をずっと研究してきていますが、多くの被害者は、被害に遭う前「自分は大丈夫」と思い込んでいました。つまり本人は、たとえカルトから勧誘されても、おかしい点には気づける、自分はちゃんと断れる、と思っていたのです。人間は自分の脆弱性を認めたくないもの。特に勧誘に免疫のない若者は、見守ってくれる人や助言者がほしいという気持ちから、「断るにしても、後で良いだろう」とつい話に乗ってしまいがちです。しかし、相手は勧誘のプロであり、長年かけて培った手練手管を駆使してきます。就職したものの仕事がしっくりこない、職場の人間関係に悩んでいる――。こうした、20代前半によくある迷いを利用して、あの手この手でマインドコントロールしようとするのです。こうした危険は新社会人に限りません。「人生の転換期」に当たる30代もまた狙われやすい年代。人生を変えたい、自分を変えなくてはいけない、今ならやり直せる、などと思う時期でもあり、女性の場合は、「子どももほしいし、そろそろ結婚したい」と結婚を急ぐ人が被害にあうケースが多々あります。「結婚できないのは根本的に自分に問題がある」と思いがちで、自己啓発やスピリチュアルに救いを求め、そこにカルトがつけ込む隙が生まれてしまうのです。
■人間関係もボロボロに
マルチ商法やマルチまがいがもたらす被害は、本人の経済的破綻だけではありません。周囲に自分が信奉する商品を売りつけようとするので、家族や親戚を含め人間関係がボロボロになります。夫婦や親子の家族関係が崩壊することも珍しくありません。また、脱退させることができたとしても、本人には「だまされてしまった」ことで傷つき、自信を失って心に大きなダメージを受けてしまいます。しかし、商業カルトも「ネズミ構」とでも判断されない限りは合法であり、法律で取り締まることができません。また現状では、救済手段があるのは金銭被害の部分だけです。金銭や契約破棄といった問題であれば、弁護士や消費者ホットライン(局番なしの188)などに相談ができます。また、契約成立後に解約ができる「クーリングオフ制度」が使える可能性もあります。ただ、運よく早く気づいて、注ぎ込んだお金は取り戻せたとしても、あつれきができた人間関係や崩壊した家族、心身のダメージはそう簡単に修復できるものではありません。そのための相談窓口も、現状ではゼロに等しい状態です。カルト団体は、宗教でも自己啓発でもビジネスでも、組織存在そのものは合法です。しかしどんな分野でも、いったん入ってしまったら抜け出すのは難しく、本人や家族の人生に多大な被害をもたらします。だからこそ私たちは、その手口を知り、伝えて、自身やわが子が決して引っかからないよう、予防と自衛を心がけなければなりません。この春から子どもが一人暮らしを始めるという人は、悪質な組織が存在していることやその手口をぜひ伝えてあげてください。マルチ商法やマルチまがいの被害者がこれ以上増えないことを、そして、これらの悲惨な被害実態を踏まえた上で、現実的な法整備が早急に進むことを願っています。

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西田 公昭(にしだ・きみあき) 
 立正大学心理学部教授 
1960年生まれ。89年関西大学大学院社会学研究科博士課程後期課程単位取得退学、博士(社会学)。詐欺・悪徳商法の心理学研究の第一人者として新聞、テレビなどのマスメディアでも活躍。著書に『マンガでわかる!高齢者詐欺対策マニュアル』ほか。 
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(立正大学心理学部教授 西田 公昭 構成=辻村洋子)

プレジデントオンライン/2022年3月21日 11時15分

女子高生らにアダルトビデオへの出演を強要して、強要剤や職業安定法違反で有罪判決を受けた元DVD販売サイト運営者の顧問弁護士の菅谷幸彦弁護士(55)が20日付けで懲戒処分を受けた旨が報じられました。業者は、女子高生を脅して、いかがわしい仕事に合意したかのように承諾書を書かせていたようです。違法行為を止めるように助言しなかったのは弁護士の品位を失う非行にあたるとして、菅谷弁護士が所属する第二東京弁護士会は、戒告の懲戒処分をしました。「『戒告』という処分は、注意されるだけですから、一番甘い処分です。2年以内の期間、弁護士業務を行なうことを禁止される業務停止。弁護士でなくなる退会命令。3年間は弁護士となる資格も失う除名。以上の4段階で重くなっています。わがままなクライアントの言いなりになって実質違法な脅迫状みたいな内容証明郵便を送っている弁護士も少なくありませんが、懲戒請求されずにヌクヌクしています」(法律事務所関係者)最近では、認知症の老人の成年後見人に就任して、職権濫用して老人の資産を背任横領する弁護士も時々報じられますが、懲戒請求はどのようにしたら良いのでしょう。「問題ある弁護士が所属する弁護士会に懲戒請求をする用紙がありまして、誰でも懲戒請求することができます。最近は、弁護士会や弁護士懲戒処分検索センターのホームページが充実しているので懲戒請求しやすい環境だと思います」(法律事務所関係者)
簡単に懲戒請求できる弊害では、弁護士に嫌がらせで過剰に無数の懲戒請求が起こされた事件も報じられています。懲戒制度には、色々問題もあるようです。「懲戒委員会や綱紀委員会といった弁護士会内の組織が裁くので、弁護士会内の有力者に嫌われているとキツい処分になったり、ハメられたりというのもあります。強い派閥の弁護士の相手方を弁護していた私は嫌がらせで業務停止処分を受けたので、弁護士を辞めることにしました。正義よりもお金と名誉に目が眩んでいる残念な弁護士もたくさんいます」(元弁護士)
すべての弁護士がテレビドラマのように正義の味方というわけではありません。依頼者の要望に応えて、依頼者の代わりにトラブル処理や裁判をするのが弁護士の仕事です。「新司法試験制度で弁護士が増えたり、インターネットで一般人が裁判等の知恵をつけたりしたので、仕事が減っている弁護士も多くいます。怪しい業者、社会的に悪い業者でも、高額の顧問料を頂けたらありがたいお客様です。ヤバいクライアントに、法的にマズいですなんて言ったら、顧問契約を切られるだけでなく、どんな報復をされるか分かりません。詐欺グループの顧問をしていた知人弁護士は、借金漬けにされ、お客様の預り金を返さない等のトラブルをたくさんおこしました。最終的には自殺しました。反社会勢力のクライアントに関わるのは命がけです」(元弁護士)
ご冥福をお祈りします。弁護士の世界の闇も深いようですから、気をつけなくてはいけません。もし、悪い弁護士の被害に遭ったらまずは懲戒請求でしょうか。(文◎土竜妹子)


2020年1月27日 14:30 tabl

弁護士懲戒処分検索センターというサイトがありますので参考に。


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